読点「、」を打つ10の場面

以前の記事で、読みやすい論文を書くためのコツの一つとして「読点の位置」を挙げました。今回の記事では、読点を打つべき10の場面をまとめます。

最初に、今回の記事の参考文献を挙げておきます。

『社会人になったらすぐに読む文章術の本』藤吉・小川、2023年、KADOKAWA

① 文の切れ目に打つ

多くの人にとって、一番分かりやすい読点の打ち方です。

「明日の実習では、先週の講義で使った資料が必要です。」

「事前にその資料に目を通し、実習の流れを理解しておいてください。」

② 修飾する語句が長いとき、その後に打つ

「明日の実習で必要な道具の一覧表を送るので、今日中に目を通しておいてください。」

文の前半「明日の実習で必要な道具の一覧表を送るので」は、文の後半「今日中に目を通しておいてください」を修飾しています。このように修飾する部分が長いときは、その後に読点を打ちます。

③ 対等な語句を並べるときに打つ

「実習に必要な道具は、資料、ペン、電卓、カメラです。」

いくつかの語句を並列させるときに、その切れ目が分かりやすいように読点を打ちます。

④ 接続詞の後に打つ

「ところで、先週の講義はどうでしたか?」

一般的に接続詞の後には読点を打ちます。主な接続詞・接続表現はこちらの記事をご覧ください。

⑤ 誤解を避けるために打つ

✖︎「実習現場ではきものを着用してください。」

「実習現場で、はきものを着用してください。」

「実習現場では、きものを着用してください。」

「きもの」を着用するのか「はきもの」を着用するのか、読点がないと二通りの意味に取れてしまいます。このように意味を誤解されないために、文の切れ目に読点を打ちます。

⑥ 挿入された語句の前後や文節を区切るときに打つ

「体験教室の申し込み期限は過ぎましたが、定員数を増やしましたので、もう一度申し込みを受け付ける予定です。」

文の途中に「定員数を増やしましたので」という語句が挿入されています。

⑦ 強調する語の前に打つ

「実習で学んだ精密な解析こそが、今最も求められている技術です。」

読点を打つことで直後の「今」が目立ち、強調されます。このように、読点は文の途中に空白を作り、その直後を視覚的に強調する効果もあります。

⑧ 引用を示す「と」の前に打つ

「明日の実習には出席できない、と友人から連絡がありました。」

引用を示すには、このように引用符を使わずに読点を使う方法と、引用符「」でくくる方法があります。

⑨ 感動詞や呼びかけの句の後に打つ

「えっ、本当ですか?」

「まさか、冗談ですよ」

この使い方をするときは、実際に話す場面をイメージすると、読点を打つ場所が分かりやすいと思います。

⑩ 格助詞を省略したときに打つ

「ご連絡、ありがとうございました。」

「ご連絡」の後に、格助詞の「を」が省略されています。ただし、これは口語的な用法のため、正式な文書ではこのような目的で読点を打つことはほとんどないと思います。格助詞を省略せずに書くようにしましょう。

まとめ

以上が読点を打つ基本的な10のルールでした。会話では読点を意識することはほとんどありませんが、その調子で文章を書いてしまうと、ついつい読点のない、長い文になってしまいがちです。文を書いていて読点を打ったほうが良いか迷ったときは、上の基本ルールを参考にしてみてください。

<参考文献>
『社会人になったらすぐに読む文章術の本』藤吉・小川、2023年、KADOKAWA

田中泰章(博士)

この記事を書いた人

田中泰章

Yasuaki Tanaka

プロフィール

自然の仕組みや環境問題、社会・教育制度などについて広い視点から考える自然科学者。2008年に東京大学大学院で博士号(環境学)を取得した後、東京大学、琉球大学、米国オハイオ州立大学、ブルネイ大学など、国内外の大学で研究と教育に約15年間携わってきました。これまでに40本以上の論文を出版し、国際的な科学雑誌の査読者として多数の論文審査も行っています。大学教員としては、これまでに40名以上の学生(学部・修士・博士を含む)を研究指導し、若手研究者を育成してきました。専門は「人間と自然とのかかわり」で、人間活動が自然界に与える影響を生物学・化学・社会学などの複合的な視点から研究しています。