論文の書き方:基本的な構成
今回の記事では、論文の一般的な構成について解説したいと思います。論文の構成は、研究分野や論文の種類(卒論・修論・博論・投稿論文など)によっても異なりますが、次のような構成が多く見られます。
- タイトル
- 目次
- 要約
- 序論(背景と目的)
- 方法
- 結果
- 考察
- 結論
- 謝辞
- 引用文献
それでは一つずつ順に解説していきます。
タイトル
論文を書くときに最初に考えるのがタイトル(テーマ)だと思います。ただ、ある程度は最初に考えますが、確定させる必要はありません。論文を書き進めていくうちに、最初は気付かなかった研究のアピールポイントが見えてきたり、結論を軌道修正したりすることはよくあるので、それに応じてタイトルも修正したほうが良いからです。最初は深く考えず、「とりあえず」で決めてしまえばいいでしょう。
目次
目次を付けるかどうかは、提出先の規定によります。一般的に、長い論文(卒論・修論・博論など)では目次を付けますが、投稿論文は比較的短いので目次を付けないことが多い印象です。
要約
論文やレポートの全体をコンパクトにまとめたものが要約です。「目次」と同じく、要約のフォーマット(文字数や内容など)も規定されていることが多いので、その規定に従って書きます。全体をまとめる作業なので、通常は原稿全体を書き終えて、最後に「要約」を書きます。
序論(背景と目的)
書こうとしている研究テーマの背景について説明します。論文は、ある課題や問題について調べたり議論したりすることを目的として書きます。しかし、読者がその課題や問題についてよく知らなければ、せっかく論文を書いてもその重要性を分かってもらえません。研究の背景や先行研究の状況をしっかり説明して、まずは読者に問題意識を持ってもらうことが大切です。そして、その問題を解決することを研究の目的として設定します。
方法
自分が行った調査や実験の方法について記述します。例えば、調査を行った日時や場所、対象、実験手順、サンプルの分析方法、統計解析の方法などです。すでに実行したことなので、「〜した」「〜を行った」のように、基本的には過去形で記述します。論文の中では一番書きやすい項目だと思うので、まずはこの「材料と方法」から書き始めるのがおすすめです。
結果
調査や実験から得られた結果について記述します。データを整理・解析して作ったグラフや表なども「結果」に入れ、データの傾向や統計解析の結果などを説明していきます。「材料と方法」と同じく、過去のこと(すでに得られたデータ)について説明するので、基本的には過去形で記述します。また、結果という事実を淡々と書いていくので、「方法」と同様に書きやすい項目と言えます。
考察
得られた結果について、自分なりの解釈やその根拠を説明していきます。論文の中では、学生が最も苦手としている項目ではないでしょうか。考察の書き方は別の記事でご紹介したいと思いますが、とりあえずここでは、「結果」と「考察」の違いだけを明確にしておきましょう。
「結果」は「実験や調査をしたところ、こうなった」という事実を書くのに対し、「考察」では「結果がこうなった理由は、・・・の可能性がある」というような推察を書きます。「考察」の中では、自分の推察や主張を補強するために先行研究を引用しますが、「結果」の中で先行研究を引用することはほとんどありません。自分の研究結果を先行研究と比較している時点で、それは何らかの考察になるからです。
学生の論文を読んでいると、結果(事実)なのか、考察(推察)なのか分からないような書き方をしていることがよくありますが、両者の違いをはっきりさせながら書くことが大切です。
結論
「結果」や「考察」を終えて、最終的に主張したいことを書くのが「結論」になります。学生にありがちな例として、「結果」や「考察」をコンパクトにまとめているだけの「結論」がありますが、それは「結論」ではなく、「要約」に過ぎません。「結論」の導入として「結果」と「考察」を軽く要約するのは問題ありませんが、「結論」のメインとしては、さらにもう一歩踏み込んだ主張をするようにしましょう。
謝辞
お世話になった人たちへ感謝の言葉をつづります。特に決まった書き方はありません。もし何かの研究費を使って行われた研究であれば、その研究課題(科研費番号など)にも言及します。
参考文献
論文の最後には、その文書を作成するにあたって参考にした文献のリストを挙げます。引用方法には、大きく分けてハーバード方式とバンクーバー方式があります。提出先から指定された方式があればそれに従い、指定がなければどちらでも構いませんが、大切なのは書式を統一させることです。
まとめ
以上が論文を構成する主な項目になります。必ずしも最初から書いていく必要はなく、自分の書きやすいところから書き始めればいいと思いますが、記事の中でも触れたように、「方法」や「結果」は書きやすい項目です。論文を書き始めるときは、まず「方法」や「結果」を整理してみると良いでしょう。
次回からは、項目ごとに具体的に書き方のポイントを解説していきたいと思います。

この記事を書いた人
田中泰章
Yasuaki Tanaka
プロフィール
自然の仕組みや環境問題、社会・教育制度などについて広い視点から考える自然科学者。2008年に東京大学大学院で博士号(環境学)を取得した後、東京大学、琉球大学、米国オハイオ州立大学、ブルネイ大学など、国内外の大学で研究と教育に約15年間携わってきました。これまでに40本以上の論文を出版し、国際的な科学雑誌の査読者として多数の論文審査も行っています。大学教員としては、これまでに40名以上の学生(学部・修士・博士を含む)を研究指導し、若手研究者を育成してきました。専門は「人間と自然とのかかわり」で、人間活動が自然界に与える影響を生物学・化学・社会学などの複合的な視点から研究しています。
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