統計解析の基本:データの種類
統計解析をするためには、まずは自分が持っているデータの種類を理解することが大切です。一般的に、データは「質的データ」「量的データ」「テキストデータ」の3種類に分類でき、さらに小分類としていくつかの「尺度」に分けることができます。
質的データ:名義尺度
名義尺度(名義データ)とは、次の例のようにグループ名を示すようなデータです。
- 地名(北海道・青森県・秋田県など)
- 性別(男性・女性)
- 所属(営業部・開発部・経理部など)
- 色(赤・青・黒・白など)
- 血液型(A型・B型・AB型・O型)
一見、これらのデータを数値として扱うのは難しいですが、例えば「男性=0、女性=1」にするなどして、便宜的に数値に置き換えることは可能です。
質的データ:順序尺度
順序尺度(順序データ)とは、「満足度」や「理解度」のように、大小や順位がイメージできる数値データです。例えば、満足度に関する調査では、
- 非常に満足
- 満足
- 普通
- 不満
- 非常に不満
のように、数値が5から1に向かうにつれて満足から不満足に変化しています。つまり、1~5という数字の大小に意味があります。
ただし、次に説明する量的データと異なり、数値の間隔には意味がありません(等間隔性は保証されていません)。例えば、「5. 非常に満足」と「4. 満足」の差は「1ポイント」で、「2. 不満」と「1. 非常に不満」の差「1ポイント」と同じですが、感情の差が同じとは限らないということです。
このように、順序データは「量」ではなく「質」を表しているにすぎないため、順序データを使って平均値や標準偏差を計算することは理論的にはあまり意味がありません。しかし実際には(論文では)、それらが計算されていることはよくあります。理論的には意味がないけれども、便宜的に(目安として)平均値や標準偏差を示していると考えれば良いでしょう。
量的データ
「体重」「身長」「速度」「本数」「温度」など、多くの計測データが該当します。量的データは「比率データ」と「間隔データ」に分けられます。
比率データ:数値の間隔に意味があり、かつ、0を起点とするデータ。加減乗除できる。身長・体重・時間・速度など。
間隔データ:数値の間隔に意味はあるが、0を起点としないデータ。足し算・引き算はできるが、掛け算・割り算はできない。 温度、西暦など。
比率データも間隔データも統計解析を行う上での性質は似ており、いずれも平均値や標準偏差などを計算できますので、区別すべき場面は多くありません。本記事ではまとめて「量的データ」または「数量データ」と呼びます。
テキストデータ
その名の通り、テキスト(文章や語句)形式のデータです。アンケートでの自由記述回答、インタビューでの語り、新聞記事、小説など、様々なテキストが含まれます。
テキストデータについては、単語の出現頻度などを数値化することで統計的に解析するか(計量テキスト分析)、数値化はせず、テキストを質的に分析する(KJ法やGTAなど)ことを検討します。
まとめ
今回の記事では、代表的なデータの種類を紹介しました。データの種類によってどのような統計解析を行うのかが変わってきますので、まずは自分が持っているデータがこの中のどの種類なのか把握することが大切です。
次回は、アンケート調査の基本的な統計解析についてご紹介します。

この記事を書いた人
田中泰章
Yasuaki Tanaka
プロフィール
自然の仕組みや環境問題、社会・教育制度などについて広い視点から考える自然科学者。2008年に東京大学大学院で博士号(環境学)を取得した後、東京大学、琉球大学、米国オハイオ州立大学、ブルネイ大学など、国内外の大学で研究と教育に約15年間携わってきました。これまでに40本以上の論文を出版し、国際的な科学雑誌の査読者として多数の論文審査も行っています。大学教員としては、これまでに40名以上の学生(学部・修士・博士を含む)を研究指導し、若手研究者を育成してきました。専門は「人間と自然とのかかわり」で、人間活動が自然界に与える影響を生物学・化学・社会学などの複合的な視点から研究しています。
アカデミックラウンジ
サービス案内


